一応、このブログも世界中の人々が閲覧できるから下手なことは書けないと思ってなかなか触れられずにいた。
でもやはり一防災屋としてこの事件は触れないといけないと思うので、あれから日が経ったが書くことにする。
昨年の暮れに大阪でとても凄惨な事件が起きた。
某雑居ビルの4階クリニックにおいて放火無差別殺人によって25人もの何の罪もない人の尊い命が奪われた事件だ。
事件の概要はニュースでさんざんやってたので、もうご承知の通りだと思う。
月並みな言い方になるが、亡くなられた方々のご冥福をお祈りするのと、遺族の方々にお悔やみを申し上げます。
で、本題。
何故25人もの尊い命が奪われたか?
「決まってるだろ、犯人が火をつけたからだろ!!」
当たり前すぎて怒られてしまいそうである。
確かに狂った犯人に放火されなければこんな悲惨なことにはならなかった。
では問いたいが原因が放火でなければ、例えばストーブが倒れて引火した、たばこの火が可燃物に燃え移ったetc・・・
これら放火以外が原因であったなら死者はでなかったのか?
確かにいきなりガソリン撒かれて火をつけられればパニックの度合いも想像を絶しただろう。
ましてや犯人に逃げ道を塞がれでもしようものなら被害が拡大するのも無理もないかもしれない。
そこのところは自分がそこに居合わせたわけではないのであまりいい加減なことは言えないのだが。。。
で、ムは防災屋であるから何が言いたいかって、ビルの防災面はどうだったかってことだ。
恐らく日本中の防災屋さんが
「もしかしたらそれ如何では被害を最小限に食い止めることができたのではないか?」
と思ってるのではなかろうか。
検証してみる。
先ず、「内階段が一つで4階にクリニック」
もうこの条件だけでこの建物は特定一階段防火対象物(以下、特一)。
特一についてはこのブログを読んでる方々に説明無用であろう。
自動火災報知設備(再鳴動機能付き)、誘導灯、消火器の3点セットは当然設置されていただろうから、これらの設備の話しは割愛する。
最低限3点セットが無い雑居ビルなんて、火災時には正に「殺人ビルディング」なのであり得ない。
但し、今回のケースは”火災”というよりは犯人の凶行による”事件”性が高いので3点セットは殆ど意味をなさなかったかもしれない。
次に、避難器具。
この事件の直後に避難器具メーカーのオリ○ーに通常の10倍の問い合わせがあったそうな。
で、放火されたのは4階だが、どうやらこのテナントの裏側にあたる診察室に窓から避難できる固定(?)ハシゴが設置されてたそうだ。
ところがこの診察室の窓が塞がれて壁になっていたそうである。。。
て、何それ?
アウト。完全にアウト。
一つしかない階段方向が火の海なのに、唯一の避難はしごにたどり着けなきゃ逃げ道ないじゃん。
これ、犯人がどうこうでなく、ただの火災でも焼死か窒息死だ。
消防署の立入り検査で不備が無かったとか、古くて小さな建物だから法的に問題が無かったとか報道されてるが、
意味わからん!?
避難開口部が塞がれてるってダメだろ。全然ダメだろ。
不備だし、問題大ありだろ!
このビルの所轄消防署、消防点検業者、テナントの工事業者、ビルの管理関係者の責任が問われると思う。